※フェリクスとコルネリウス:1 フェリクス:はじめまして。 私、フェリクスと申します。 コルネリウス:おう、俺はコルネリウスだ。 よろしくな。 フェリクス:貴方のお噂はかねがね聞いておりますよ。  なんでも、素晴らしい妹さんが いらっしゃるのだとか。 コルネリウス:はっはっはっは! 我が妹の噂はそこまで広まっていたか。  それはお兄ちゃんとしても、鼻が高いぞ! フェリクス:いえ、どちらかというと、妹さんではなく、  貴方自身のシスコンぶりの噂 なのですが――  まあそんなことよりも、です。  私、今ちょうど暇を持て余している ところなんですよね。 コルネリウス:奇遇だな。 俺もたった今、任務を終わらせたばかりで  時間が空いているんだ。 フェリクス:なるほど。 それでしたらここはひとつ、  時間潰しのゲームでもしませんか? コルネリウス:ゲーム……だって? 一体どんなゲームなんだ? フェリクス:はい、簡単な推理ゲームです。  私が今からひとつのモノを頭の中で 想像しますので、コルネリウスさんは  それを当ててください。 コルネリウス:いやいやいや、ちょっと待ってくれ。  そんなもの、ヒントも無しに 当てられるわけがないだろう。  世界のお兄ちゃんだって万能じゃないんだ。 フェリクス:うーん、そうですか?  世界のネコネコ騎士には 造作も無いことなのですが……。  わかりました、それではこうしましょう。  コルネリウスさんは私に、 そのモノについての質問をして  頂いても構いません。 私はそれに正直に答えますので、  コルネリウスさんはモノの正体が わかったところで答えてください。 コルネリウス:ふぅむ。 それならまあ、いいだろう。 フェリクス:では、早速始めましょう。  ……はい、モノを思い浮かべましたので コルネリウスさん、質問をどうぞ。 コルネリウス:おう、質問いくぞ。 それは生き物か? フェリクス:生き物です。 コルネリウス:それは可愛いものか? フェリクス:はい、そうですね。 大変可愛らしいです。 コルネリウス:はっはっはっは!  楽勝だな。 もう答えがわかったぞ! フェリクス:おや、自信満々ですね。 して、その答えとは? コルネリウス:ズバリ、妹だ。 ……違うか? フェリクス:…………。  残念、ハズレです。 コルネリウス:な、なんだって! それじゃあ答えはなんなんだ? フェリクス:答えはネコです。  おっと、気がつけばもうこんな時間ですか。 早くお城に戻らないといけませんね。  コルネリウスさん、暇潰しに付き合って 頂きまして、ありがとうございました。 コルネリウス:お、おい! ちょっと待てお前――。 ※フェリクスとコルネリウス:2 フェリクス:こんにちは。 お久しぶりですね、コルネリウスさん。 コルネリウス:フェリクスか…… やっと再会することができたな。 フェリクス:おや、何か私に用事でもあったんですか? コルネリウス:おう、この前のゲームのリベンジを しようと思ってな。  ずっと探していたんだ。 フェリクス:なるほど、そうだったんですか。  ときに、それは一体どんなリベンジ方法 なのでしょうか? コルネリウス:ああ。 簡単に言えばこの前と逆のパターンだ。  今度は俺が出題する側で、お前が答える側。  これで俺が勝てば、 一勝一敗のイーブンになるという具合だな。 フェリクス:面白いですね。 受けて立ちましょう。 コルネリウス:当然だ!  よし……モノを思い浮かべたぞ。 さあ、どんな質問でも来い! フェリクス:それでは、答えて構いませんか? コルネリウス:答えるって……おい!  お前、まだひとつも質問してないだろう! フェリクス:ええ。私はネコネコ騎士ですから。  質問をしなくとも、 答えがわかってしまうのです。 コルネリウス:いやいやいやいやいや、それはおかしい。  例えお前がネコネコ騎士だとしても、  質問をせずに答えを当てられるはずなど あるわけがない! フェリクス:コルネリウスさん。 それが答えられるんですよね。  世の中には結構、にわかに信じがたいことが 転がっているものなんですよ? コルネリウス:よ、よし……。 そこまで言うのなら、わかった。  お前の実力、確かめさせてもらうぞ。 さあ、答えてみろッ! フェリクス:はい。 いきますよ、コルネリウスさん。  貴方の思い浮かべたモノはズバリ――。  ――妹です。 コルネリウス:あ、当てられたッ! ※フェリクスとウィレム:1 ウィレム:うーん、一人前の騎士になるためには、  どうしたら良いんだろう……。 フェリクス:もしもし、そこの騎士の方。 何か、お困りごとでしょうか? ウィレム:え? あ……はい。  困りごとと言えば、 困りごとなんですけれども――。 フェリクス:それでしたら、このネコネコ騎士が  微力ではありますが、 力をお貸ししましょう。 ウィレム:えーっと、ありがとうございます。  ……ですが、貴方は一体誰なんですか? 面識はないと思うんですけども。 フェリクス:すみません、申し遅れました。  私、謎のネコネコ騎士という者です。 ウィレム:謎のネコネコ騎士様――って、本当ですか?  すごい! 騎士の中の騎士と謳われるネコネコ騎士様に  こんなところで会えるなんて!  うわぁ、僕って運がいいなぁ! すみません、サイン貰ってもいいですか? フェリクス:ええ、構いませんよ。 サラサラサラ……はい、どうぞ。 ウィレム:ありがとうございます! あ、あの……それでネコネコ騎士様は、  僕の困りごとを聞いてくれんですよね? フェリクス:はい、もちろんです。 困りごととはなんでしょうか? ウィレム:実は、ですね。  僕、どうしても一人前の騎士に なりたいんです。  でも、いつも失敗ばかりで、 姫様のお役に全然立てなくて――。 フェリクス:なるほど。 それは、なかなかに深刻な悩みですね。 ウィレム:ネコネコ騎士様、お願いします!  僕に、役に立つ立派な騎士になれる方法を 教えてください! フェリクス:心配はご無用です。  このネコネコ騎士にかかれば、 問題はたちどころに解決です。 ウィレム:そうなんですか? やっぱり、ネコネコ騎士様はすごいなぁ。  ……それで、どうすれば僕は、 立派な騎士になれるのでしょうか? フェリクス:簡単なことですよ。  貴方も、ネコネコ騎士試験を受けて、 それに合格すればいいのです。 ウィレム:ネコネコ騎士試験……?  確かに、ネコネコ騎士は 騎士の中の騎士って言いますけど、  僕には受かる自信がないです。 フェリクス:大丈夫ですよ。 私がついていると言ったじゃないですか。  貴方にいいものを差し上げます。  これを使えば、ネコネコ騎士試験も 一発で合格ですよ。 ウィレム:こ、これは――。 ネコネコ騎士試験予想問題集! フェリクス:次回の試験日は来週です。  それまで、しっかり勉強して下さいね。  それでは。 またお会いできればいいですね。 ウィレム:謎のネコネコ騎士様……。 あ、ありがとうございます! ※フェリクスとウィレム:2 ウィレム:あ、謎のネコネコ騎士様! フェリクス:おや、貴方はいつぞやの 半人前騎士さんですね。 ウィレム:半人前って酷いですよ。  僕はもう、立派な騎士に なれたんですから……。 フェリクス:ということは、もしや? ウィレム:はい! ネコネコ騎士試験に見事合格しました! フェリクス:それは素晴らしい。 おめでとうございます。 ウィレム:いや、すごいのは、 ネコネコ騎士様からいただいた  あの問題集ですよ。  だって、本番の試験で出た問題、 全部あれに載ってたんですから。 フェリクス:それは良かったです。  私も、問題集と同じ問題を試験に出した 甲斐があったってものです。 ウィレム:……え? 問題集と同じ問題を試験に出した……って、  どういうことですか? フェリクス:言葉通りの意味ですよ。  あの試験の問題をつくったのは、 何を隠そうこの私なのです。 ウィレム:そうだったんですか! あれ、でもおかしいな。  あの試験問題には確か、 『問題作成 ネコネコ騎士会名誉会長』 って……。  え、もしかして――。 フェリクス:はい、実は私、ネコネコ騎士会の  名誉会長を務めさせて頂いております。 ウィレム:す、すごい! まさか貴方が名誉会長だったなんて……。 フェリクス:そんなに驚いて貰っても困りますよ。  そう言う貴方だって、副会長なのですから。 ウィレム:僕が副会長……?  この前ネコネコ騎士になったばかりの僕が、 なんでそんな重要な職に!? フェリクス:それは簡単なことです。  なぜなら、この世にネコネコ騎士は 貴方と私しかいないのですから。  実は、貴方がネコネコ騎士試験に合格した、 二人目の人間なのです。 ウィレム:そ、そうだったんですか!  僕がネコネコ騎士会名誉副会長……かぁ。  えへへ、半人前から一人前を通り越して、 百人前くらいになった気分です。 フェリクス:それでは、副会長。ネコネコ騎士会の  存続と発展のためにも、今日から二人で 力を合わせて頑張りましょう。 ウィレム:はい、会長! 僕も精一杯頑張ります!