※オーロフとフォルカー:1 オーロフ:フーッ、アンタ、思ったより やるじゃねえか。 フォルカー:ははは、私も騎士だからね。 強くなければ、家族を守れない。 オーロフ:家族、か……。 フォルカー:そうだオーロフ君、これから 我が家で食事でもどうかね? オーロフ:え? 俺、人狼だぜ? 見てわかんねーのか!? フォルカー:私はいつも、気に入った相手を 家に招いているのだ。  人狼なんて、いまどき珍しくもないだろう。 オーロフ:す、すまねー、今日は用事があるんだ。 また今度にしてくれ。 フォルカー:絶対だぞ! ※オーロフとフォルカー:2 オーロフ(制服):よう、オーロフだ。 おっさん、稽古の相手になってくれよ。 フォルカー:そうか、人狼は人間の姿を 持っているのだったっけ。  まるで別人だなー。 オーロフ:さあ、始めようぜ。 フォルカー:人間の姿でも、なかなかやるな。  さてオーロフ君、この前の話だが……。 オーロフ:覚悟はとっくにできてる。 あんたの家に行ってやるよ! フォルカー:ずいぶんと乗り気だなー。 人狼の格好じゃないからか? ビアンカ:あらまあ、かわいいお客さん。 オーロフ:ん、あんた、どっかで……? フォルカー:前話してただろう。 オーロフという後輩の騎士だ。  オーロフ君、家内のビアンカだ。 ビアンカ:よろしく。 オーロフ:よろしく。 ……俺のこと、なに話したんだ? フォルカー:そりゃ、夫婦の秘め事ってもんだ。 オーロフ:『秘め事』!? ビアンカ:うふふ、キノコスープは たっぷりありますからね。  たくさん召し上がってください。 オーロフ:…………。 ビアンカ:……ああ? あそこにいるのは、 次女のリイです。  リイ、騎士様にご挨拶なさい。 リイ:あの騎士様、怖い……。 オーロフ:…………! ビアンカ:こら、リイ、なんてこと言うの! リイ:お母さん怒ったー! ビアンカ:すみません、オーロフ様。 ウチの娘ときたら。 オーロフ:……外見ではごまかせない、 というわけか。 ※オーロフとフォルカー:3 ※漆黒の殺人鬼(フォルカー版?)の後、原文ママ フォルカー:この前、ウチのリイが人狼の殺人鬼に  襲われてくれた時、助けてくれたろ? オーロフ:ん? ……ああ。 フォルカー:『あの人狼にお礼が言いたい!』 って、うるさいんだ。  今晩でも来てくれないか。 オーロフ:この格好でか!? フォルカー:君は、娘の命の恩人だ。  君を悪く言う奴がいたら、 私が許さぬ。 ビアンカ:きゃっ、人狼!? オーロフ:…………。 フォルカー:おい、オーロフ君だぞ。 忘れたのか。 ビアンカ:……ああ、そうでした。  この前、我が家に来てもらった時は、 人間の姿でしたもの。 リイ:あっ! オーロフ:!? リイ:オオカミさんだ、オオカミさん!  私を助けてくれたオオカミさん! オーロフ:お、おい。 リイ:リイね、ずっとオオカミさんに お礼を言いたかったの!  ありがとう! オーロフ:んー……。 リイ:どうしたの、オオカミさん。 フォルカー:オオカミさんはとまどってるのさ。 リイ:ねえオオカミさん、触らせて! オーロフ:ん、ん……。 リイ:ふかふかー。 オーロフ:…………。 リイ:ふかふかー。 オーロフ:…………。 リイ:ふかふかー。 オーロフ:…………。 ※ヌシャトーとフォルカー ビアンカ:さあさあ、たーんと食べていってね。 ヌシャトー:感謝。 フォルカー:おいおいヌシャトー、手で食べずに、  せめてスプーンかフォークを使ってくれ。 ヌシャトー:我、使えぬ。 フォルカー:おぬしが使ってくれぬと……。 リル:リルも手で食べるー! リイ:リイもー! フォルカー:……娘たちが真似するのだ。 ヌシャトー:ヌウ……。  ……娘ら、我に、使用法教えろ。 フォークの。 リル:いいよ! こう持つの! ヌシャトー:こうか。 リル:ちがーう! こう! ヌシャトー:こうか。 リル:ちがーう! フォルカー:ハハハ、ヌシャトーよ。  私の娘はなかなかの鬼コーチだぞ。 しっかりしごいてもらえ! ヌシャトー:ヌウ……剣より、困難。 ※フォルカーとギィ フォルカー:フーッ、いい汗をかいた。 どうです、我が家で一杯やりませんか。 ギィ:たしなまぬ。 お気持ちだけはいただいておこう。 フォルカー:飲めないのですか? それはさみしい限りですなー。  人生を損してますよ。 ギィ:酒を飲めば判断が鈍る。 フォルカー:おやおや……まるで暗殺者でも 恐れているような言い方ですな。 ギィ:おぬしの任務が私の暗殺でないとしても、 いずこに潜んでいるかわからぬ。 フォルカー:……私の任務は、フィーリア姫を 『試練』に勝たせることしかありません。 ギィ:おぬしの任務が無事、 果たされることを祈っていよう。 フォルカー:私の剣が……見抜かれたとでも?