>ヌシャトー ・レメディオス アデライード:ふう……。 ヌシャトー:どうした、ない、元気。 アデライード:……ヌシャトー? どうしたの、いったい。 ヌシャトー:我、遣い、姫の。 アデライード:ああ……そう。 上がっていって。 ヌシャトー:部屋……変化ない。 アデライード:ええ、なにもかも昔のまま。 私の安っぽい感傷よ。 ヌシャトー:…………。 アデライード:誰にも言ったことがないのだけれど、  もう、フレデリックの顔を 忘れかけているの。  肖像画は全部燃やしてしまったもの。 思い出そうとしても無理。 ヌシャトー:…………。 アデライード:あの人と、どこへ行ったとか、 なにを食べたとかは覚えているのにね。  顔だけは、もやがかかったようになってる。 残酷な女だと思うかしら? ヌシャトー:…………。 アデライード:だから私は、守るの。  このレメディオスの地だけが、 あの人との唯一の絆だから。 アデライード:殿下によろしくね。  私個人は常に、殿下の味方です、 と伝えて。 ヌシャトー:了承した。  ……アデライード。 アデライード:なあに? ヌシャトー:『故郷の水は、故郷に帰る』 ……ポランニーのことわざ。 アデライード:ありがとう。 デナ・デルー(よい夜でありますように)。 ヌシャトー:デナ・デルー。 ・エプヴァンタイユ エプヴァンタイユでの工作を命じられた ヌシャトー。 言葉が苦手ゆえ、方々で人助けをした。 ヴィンフリート:殿下。エプヴァンタイユ公から 感謝状が届いております。  ヌシャトー殿の頑張りの賜物ですね。  ただその……苦言を呈するならば、 殿下の人気というよりは、  ヌシャトー殿自身の人気が上がったようで。  工作の効果としては、どうも……。 真面目なのはよいのですが、  どうにも、要領を得ない、というか。 エクレール:真面目すぎて要領を得ない、ですか。  まるでどこぞのメガネがステキな お兄さんみたいですわね。 ヴィンフリート:侍女殿、うるさい。