>エヴァンジル ・ロクス・ウィリデス ロクス・ウィリデスでの工作を命じられた エヴァンジル。 熱が入り、気付けば夜更けとなっていた。 ご婦人の声:きゃああああ!! 誰かッ、誰か助けてー! エヴァンジル:むっ! 助けを求めるご婦人の悲鳴!  どこだ、どっちからだ? ???:とうっ!! でいりゃああ!! ……成・敗!!  これでもう大丈夫だ! ご婦人の声:ありがとう、謎のリョーシュマン! リョーシュマン:ステーキを食べよう! エヴァンジル:謎の? リョーシュ……?  いや空耳だろう。きっと疲れているんだ。  うん、考えるのやめて今日はもう休もう。 ・レメディオス レメディオスでの工作を命じられた エヴァンジル。 領主の館を訪れたのだが……。 アデライード:追い返しなさい。  どうせ軽薄なお世辞をまくしたてるだけ、 なのでしょうから。 エヴァンジル:なに!? ようし、軽薄じゃないところを見せてやる! アデライード:……彼、まだいるの? 朝から一日中、立ち尽くして……。  わかったわ。私の負け。 今日はゆっくり休んで、明日また来るよう  伝えてちょうだい。 ・エプヴァンタイユ(イベント後) リュシアン:……先生! エヴァンジル:やあ。 元気にしていたかい、リュシアン君。  いやまあ、見るからに元気ではないな。 でも、無事でよかった。 リュシアン:先生の教えのおかげです。  あれからも何度か、危ういところを、 切り抜けることが出来ました。 エヴァンジル:それはすばらしい。 死んでしまったら、なにもできないからな。  人生はこれからが楽しいんだぞ。 せっかく生まれてきたんだから、  十二分に楽しまなければもったいない。 リュシアン:先生の教えてくれたこと、 最近ちょっとずつ実感しています。  領主の仕事も、王の試練も。 大変は大変ですけど  楽しいとも思えるようになって来ました。 エヴァンジル:いや、そういう楽しみじゃないんだが……。  まあ、いまはそれでいいよ。 リュシアン:エヴァンジル先生、  ずっとお礼を言いそびれていたので、 いま言わせてください。  ……ありがとう。 あなたがいなければ、僕はいまごろ、  シジェルの門の向こうだったでしょう。 エヴァンジル:なぁに、たいしたことじゃないさ。  私はスーパーマンだからね。 子供一人を暗殺者から守るなんて、  かんたんかんたん。造作もない。 リュシアン:あの時の傷は、大丈夫ですか? エヴァンジル:ああ、この右手の? 全然平気さ。たいしたことじゃない。 リュシアン:本当に? エヴァンジル:ああ、本当さ。 私が嘘をついたことがあるかい? リュシアン:はい、結構あります。  ……でも、信じます。  エヴァンジル先生の言うことは、 結局は正しかったから。 エヴァンジル:……はは、ありがとう。 君の言葉は、ありがたく受け取るとしよう。  まあ私自身は私のことを、 大した奴じゃないとは思ってるけど。 リュシアン:道中、お気をつけて。 エヴァンジル:君こそな。 リュシアン:……あの。 怒らないで、聞いてくれますか? エヴァンジル:なんだい。 リュシアン:僕、先生の絵、とても好きでした。  もし、僕をかばった傷のせいで、 絵をやめてしまったのなら……。 エヴァンジル:リュシアン! リュシアン:…………ッ! エヴァンジル:……生徒は先生のことで、 気をもむ必要なんてないよ。  君は君で、精一杯生きたまえ。 ・リベル:1 リベルでの工作を命じられた エヴァンジル。 土地柄について老人の話を聞いてまわった。 エヴァンジル:今の領主はああだけどさ、リベルって、  昔から英雄の武勇譚が多いよね。  どうしてなのかご存知ですか、ご老人? 土地の老人:そりゃ、隣国ゲルツェンとの戦が  絶えないから、に決まっとる。 エヴァンジル:ああ、なるほど!  でも、だったらどうして、 そうも戦が絶えないのかな。 土地の老人:まったく。若いモンはこんなことも知らん。  ……ええか、このリベルではな、昔っから  最高級の鉄鉱石や石炭が採掘できるんじゃ。  じゃからゲルツェンもこのリベルがほしい。 質のよい武器が作れるようになるからな。 エヴァンジル:そういうことかー! お年寄りの話は聞いてみるもんですな。  いや、どうもありがとうございました。 土地の老人:……フン。 もっと勉強してから、また来るんじゃな。 ・リベル:2 リベルでの工作を命じられた エヴァンジル。 老人の話を参考に、炭鉱街を訪れた。 エヴァンジル:参ったなあ。 筋骨隆々屈強マンが多すぎる。  ……私、完全に場違いだこりゃ。 鉱員:そりゃ炭鉱の町だからな。 なよなよしたやつはお呼びじゃねえさ。 エヴァンジル:鍛えてないわけじゃないけどね。  騎士の鍛え方と鉱員の鍛え方じゃ、 やっぱりいろいろ違うんだろうなあ。  しかしまあ、武勇譚の多さといい、 どこぞの筋肉領主が聞いたら  泣いて悔しがりそうな話だな。ふふ。 ヴェンツェル:ぶッふぇ〜〜くしょい! ……いかん、カゼというやつかもしれん。  おーい、肉を持ってきてくれ! ・リベル:3 リベルでの工作を命じられた エヴァンジル。 再び土地の老人を訪れた。 エヴァンジル:坑道は命がけ、勝手はみんなを殺す。  自分達のことは自分達で徹底管理。 ここでは自警団の影響力が強いんだってね。 土地の老人:それなりに勉強してきたようじゃな。 エヴァンジル:なかなか関心な若者、でしょ?  というわけで、ここはひとつ、 ご褒美をちょうだいしたいなあと。 土地の老人:……ま、調べりゃすぐわかるか。  わしが先々代の自警団長だ、 ということくらいは。 エヴァンジル:ええ。 そしてこのリベルの自警団は、  代々の先輩のご意向を尊重するってことも。 土地の老人:王女派は鉱員について理解がある。  ……とでも下の連中に言えばよいのじゃな? エヴァンジル:ありがとうご老人! そうしてもらえるとすごく嬉しいよ。 土地の老人:礼を言うくらいなら、 また話し相手になりにこい。  ……次は茶くらい出してやる。 ・ベルジュロネット オベルジーヌ:待っていたよ、私のエヴァンジル。 エヴァンジル:その呼び方はよしてくれないか。 気持ち悪い。 オベルジーヌ:私の愛するものはすべて、私のものだ。 エヴァンジル:変わらないね、あなたは。 オベルジーヌ:でも君は変わったな。 昔はもっと、素直だったぞ。  にいさま、にいさま、と慕ってくれたのに。 ああ、時の流れは残酷だ。 エヴァンジル:いつの昔の話だ! 子供の頃だろう!  ……分家と本家の違いもわからない、 ちいさな子供の頃の話だよ。  今日はそれとは関係ない。 私は王女の名代として……。 オベルジーヌ:私を王女派として勧誘に来たのだろう?  わかった、それを成し遂げたいならば、 私についてくるがいい。 エヴァンジル:……また地下牢じゃないだろうな? オベルジーヌ:同じ手は二度使わんよ。 エヴァンジル:……この絵は! オベルジーヌ:どうだ、見覚えがあるだろう。 君の祖父マルタンの遺産、  宮廷画家シアーズ画、 『伝説の王妃オクタヴィア』だ。  すばらしい絵だと思わないか。 口伝でしかない騎士王伝説の一説から、  これほど写実的な姿が浮かび上がっている。 エヴァンジル:……おお……。 オベルジーヌ:おっと、お前に解説は不要だったな。  なにせ、これはもともと お前の家のものだったわけだから。 エヴァンジル:……借金取りに持っていかれたとばかり、 思っていた。  ここにあったのか。 オベルジーヌ:預かっているわけではないぞ。  この絵は、私の家――君からすれば 『本家』が買い上げたものだ。  といっても、只同然だったらしいがな。  私の祖父は、君の祖父や私たちと違って、 芸術が嫌いだったからな。  それでも借金取りに持っていかれるよりは、 と、君の祖父は土下座までして  私の祖父に頼み込んだそうだよ。 エヴァンジル:……そんな気を回すくらいなら、 最初から放蕩三昧しなければ……。 オベルジーヌ:まあそう言ってやるな。  美を愛するというのは、 いいことではないか。  もっとも、剣や鎧を売り払うより、 絵を先に売ってしまうのが、  我々騎士の一族の悲しいところだがね。 エヴァンジル:そりゃそうだ。 武器と鎧を持たなければ……、  戦えなければ、騎士階級ではない。 オベルジーヌ:……君はどうかな? もう、絵は捨てたのかい? エヴァンジル:あんなもの、最初から素人の道楽さ。  こだわるほどのモノでもない。 もうとっくにやめたよ。 オベルジーヌ:やめた? 一生やめられるか? 騎士王に誓えるか? エヴァンジル:……私は帰るよ。  その絵を取っておいて くれてありがとう。 オベルジーヌ:エヴァンジル、絵を描け。  もう一度絵筆を握り、 キャンパスにぶつけるんだ。 エヴァンジル:私に、絵の才能なんてないさ。 そりゃわかってるだろ。 オベルジーヌ:才能なんてどうでもいい。  私は、君が筆を握っている姿を、 もう一度見たいだけなんだよ。  あの熱い情熱。ひたむきな瞳。 鼻の頭についた絵の具さえ、最高の化粧。  ……あんなに美しいものは、他にない。 エヴァンジル:……母も似たようなことを言っていたよ。 だが……。 オベルジーヌ:いつまでも魂の要求を、 拒否し続けることは出来ないぞ。  エヴァンジル……。