※マンハイムで暴動発生 滅多に起こらないような? 闇の者:……くそっ、黒貴族め。  人間だけじゃ飽き足らず、 我々の生活まで弄びやがって……。  このままでは、なぶり殺しになるだけだ!  それならせめて最後に、 暴れまくってやる! 闇の群集:うおおお! そうだそうだ! 黒貴族の気まぐれに耐えかねた 闇の者の有志達は、 命がけで暴動を起こした……。 しかし黒貴族は、 気にも留めないどころか、 それを楽しんでいるようだ……。 ウィーギンティ:マンハイムで暴動が起きています。 我々協会は、領主及び国王候補に、 至急の対策を要請します。 ※オーロフを進行している 使い魔ユーベル:気高き影の主、鮮血の暴君、輝ける闇、  我らが王ヘルゼーエンにご報告します。 ヘルゼーエン:……なるほど、人狼の騎士か。  その人狼の騎士は、確かにオーロフ…… というのだな? おもしろい。  キュヴィエ! 滅びのキュヴィエはいるか? 滅びのキュヴィエ:ここに。 ヘルゼーエン:どう思う。 滅びのキュヴィエ:人間風情に肩入れするなど、  同じ人狼として許せません。 ヘルゼーエン:よし、キュヴィエよ。 騎士オーロフをここに呼び出せ。  我が『花嫁』に欲しくなった。 滅びのキュヴィエ:はっ。 ヘルゼーエン:永く果てなきこの生を、いかにして  喜びに満ちたものにすればよいのやら。  あの人狼は、私の生の足しに なってくれるのだろうか。 ※黒貴族配下騎士によって領主が死亡or失踪 ウィーギンティ:協会の名と、定められた約束のもとに、  主をなくした領地の経営を代行する。  そこに座すものよ。去るべし。 ヘルゼーエン: ……ん、ああ。ずいぶんと遅かったな。  待ちくたびれて、眠ってしまった。 ウィーギンティ:あなただったか、闇の王。 ヘルゼーエン:久しいな。協会の御業を、 このターブルロンドで預かる者達よ。  貴様は何代目だ? ウィーギンティ:あなたとの最後の邂逅より 数えて4代。 のべて20代。 ヘルゼーエン:ふん、まったくもって、 あの時と変わらぬように見えるがな。  どのようにして、姿を継承している? 貴様らの技は忌々しいことこの上ないが、  その内容には興味がある。 ウィーギンティ:我々は、闇の者に、 いかなる技術も与えない。  去れ、闇の王。 ここはこれより、協会の地だ。 ヘルゼーエン:ああ、もちろんだ。 王の試練で定められたとおり、  この領地は引き渡そう。 ウィーギンティ:……それは驚くべきことだと考える。  自らの力で奪った地を、 これほど容易に手放すと言うのか? ヘルゼーエン:私は王候補として立ったのだぞ?  ならば、試練の約束は尊重しよう。 そうでなければ、楽しめないというもの。  なに、取り戻したくなったときには、 一息で取り戻すだけのことだ。  このように! ウィーギンティ:……。  これ以上、その力を振るうのならば、 協会はそれを、宣戦布告とみなす。 ヘルゼーエン:ふん、裾もそよがぬか。 あいかわらず、奇妙なまやかしを使う。  人間であれば、三度は灰になっておるものを。 ウィーギンティ:四つの力の偉大なるかな。 物は力に、力は物に。  協会の力は、人類のためにある。 闇の者達の好きにはさせない。 ヘルゼーエン:ふん、講釈はいらんぞ。私は帰る。  焦げた調度品に関しては、 後日代わりのものを贈ってよこそう。  安心しろ。 人間の剥製などではなく、 まともなものを選ばせるゆえ。 ウィーギンティ:心遣いを評価しよう。 ヘルゼーエン:ククク……。 しかし人間どもも、愚かなことよ。 ウィーギンティ:その言葉には、賛成できない。 ヘルゼーエン:愚かなのだよ。  我ら闇の恐怖から逃れ、 大地の災いから身を守るために、 協会を招きいれ……。  なにより恐ろしいものたちに、 内側から喰らわれてゆくのだからな。  協会の者どもよ。 貴様らこの十数年に、 いくつの国を乗っ取ってきた? ウィーギンティ:人々が望んだことだ。  今このとき、主なき領地を預かる役目を、 この国の人々から託されたように。  さらばだ、闇の王。 最後の戦いの日が、今ではないことを  あなたは見通しているはず。 ヘルゼーエン:さらばだ、協会の者達。 また近いうちに、会うことになるがな。 ウィーギンティ:……。  ……恐るべき力よ、闇の王。 やはり、今の人類の技では、  対抗できるものではないか。 ※散歩 フィーリア:散歩に行きませんか? ヘルゼーエン:散歩か……いいだろう。  フィーリア、目をつむれ。 少しまぶしいぞ。 パミラ:……ヒィッ! ひ、姫様! それにヘルゼーエン様!  いったい、どこから!? ヘルゼーエン:ふん、城の使用人か。 覚えておくが良い、女。  これが『魔法』だ。  協会の連中の使う、怪しい手妻とは違い、 皆が本来持っている力だよ。  お前のような下賎なヒトであっても、 百年も修練すれば、使い方を思い出……。 エクレール:姫様〜っ!  お待ちください、姫様、 ヘルゼーエン様! ヘルゼーエン:おや、エクレール君。 よくここがわかったな。 エクレール:姫様、戻りましょう! ヘルゼーエン:フィーリアとは、 いまから散歩に行くところだ。  邪魔はさせないぞ? エクレール:着替えもせずにお出かけするなど、 もってのほかです!  さあ姫様、お部屋へ。 ヘルゼーエン:……その通りだな。 ヘルゼーエン:私はイシュメールの町にはちと詳しいよ。  何度となく来ているからな。  それこそこの土地に、 ヒトがこそこそやってくる以前。  魚人たちの遊び場だった頃からね。  ここにきたヒトは、まず漁師達だった。  私も何度かおもしろ半分、 漁につき合ったことがあったな。  老いた漁師が、人ひとり分くらいの小舟で、 たったひとりで漁に出て、大きな鯨を  捕まえてくるなんてこともあった。  その後、ヒトが増えるにしたがって、 羊飼い達が訪れるようになり……。  ああ、歴史の講釈は退屈かね。  せっかくの散歩だ。 普段は行かないような店に出向いてみよう。 給仕オードリー:いらっしゃいませ。 カウンター席の方へどうぞ。 ヘルゼーエン:こういう大衆酒場には来たことがあるかな?  優雅とは言い難いが、 なかなかおもしろいものだ。 亭主シルバートン:旦那方、なにになさる? ヘルゼーエン:私は赤ワインを。 フィーユ、君は? >レモン水を。 シルヴィアス:おい坊主、なんだおまえ、 飲み屋に来て酒飲まねーってのか? ヘルゼーエン:……では、私もレモン水を。 シルヴィアス:保護者様までそろってレモン水かよ! 笑っちまうぜ。 ヘルゼーエン:『からむのはやめる』 シルヴィアス:すみません、からむのはやめます。  ……あ、あれ? 口が勝手に。 ヘルゼーエン:『家にこもって人生を考える』 シルヴィアス:俺、家にこもって人生を考えてくるよ。  ……あ、あれ、口が勝手に、あ、足まで。 給仕オードリー:ちょっとお客さん、お勘定ー! 亭主シルバートン:旦那、魔法使いですかい!? ヘルゼーエン:手品師さ。  言葉の抑揚によって、相手の頭に 別の考えを吹き込むことができるのだよ。  さあ、レモン水で乾杯しようじゃないか。 邪魔者が消えたことに、な。 (場面は城へ) ヘルゼーエン:ふふ……人間達の飲み物も、 なかなかに楽しめるものだな。  楽しい散歩だった。 >私も赤ワインを。 亭主シルバートン:へい、お待ち! ヘルゼーエン:この香り……親父、 ワインに混ぜ物をしてるな。 亭主シルバートン:のっ、飲んでもいないのに、 いちゃもんつけねーでくださいよ! ヘルゼーエン:私が飲む分には構わないのだが……  大事なフィーユに、わけのわからぬものを 飲ませたくはない。  騎士王に誓って、 混ぜ物はしてないと言えるか? 亭主シルバートン:……す、すみません。ワインを運ぶ隊商が、  先の『闇の者』のせいでやられちまって、 ワインが値上がりしてるんですよ。  混ぜ物も、申し訳ありませんが、 仕方のねえ話でして。 ヘルゼーエン:……フム、それでは仕方ないな。  あとで我が領地から、 極上のワインを届けさせよう。 亭主シルバートン:ああ、どこかの領主様でございましたか!  こりゃ大変な失礼を。クノー王時代の ワインが蔵にありますんで、早速……。 ヘルゼーエン:いや、別の物を頼むことにするよ。  そうだな、レモン水を頼む。  ……妙なところで、暴動の影響が 出てしまっていたようだな。 (場面は城へ) ヘルゼーエン:ふふ……。 なかなか楽しい散歩だったな? >えーっと、ウイスキーを。 亭主シルバートン:おいおい、ガキにウイスキーは早すぎる。 ヘルゼーエン:『いまからウイスキーを用意する』 亭主シルバートン:では、いまからウイスキーを用意します。  ……あれ、口が勝手に。 ヘルゼーエン:そうか、用意し給え。 男に二言はなかろう? 亭主シルバートン:は、はい。……おっかしーなー。 ヘルゼーエン:しかし、ウイスキーなんて飲んで大丈夫か?  まあ、乾杯といこう。  ……ずいぶんと飲むな。大丈夫か?  >だいじょーぶれす。 ヘルゼーエン:……ここに連れてきたのは、 大きな間違いだったようだ。  帰るぞ。  親父、勘定を。 ヘルゼーエン:足元がふらついているぞ。 まったく……しょうがない奴だな。    >えへへー。    >だいじょーぶらって!    >うえー。 ヘルゼーエン:仕方ない、城までおぶっていって やるしかないか……。  世界中から恐れられる黒貴族の背を 借りた者など、おまえくらいだぞ。  ……まったく、警戒心がないというか なんというか……これで本当に、  国王になるつもりなのか?  フーッ、まったく、聞こえていないか。 これも経験だな。  >じゃんじゃん持ってこーい! (場面は城へ) エクレール:やーっとお目覚めになりましたわね。  あー、お酒くさい。  覚えていらっしゃらないのですか?  酒場で酔いつぶれたところを 連れて帰ってきてもらったのです!  まったく。酒は淑女の嗜みではありますが、 酒に呑まれてはいけませんわよ。  ……でも、ヘルゼーエン様、 あっさりとお城に連れ帰ってきて  くださいましたわね。  首筋に牙の痕でもあるものと、 半ばあきらめておりましたが。  ……ああ、まだ起きないでください!  頭が痛みますか? ハーブティーを 淹れて差し上げます! ※遍歴の物語・聖騎士のあと、双子の短剣入手前に黒薔薇の造花を贈る? >あなたの好きなところへ連れてって。 ヘルゼーエン:そうだな、とっておきの場所がある。  いつか案内してあげるよ。 エクレール:では姫様、おやすみなさいませ。  ……そういえば、ヘルゼーエン様。 今日はあっさり帰ってしまわれましたわね。  いつもながら気まぐれな方ですわ。 ヘルゼーエン:フィーリア、もう眠ったかね?  やあ、フィーリア。 まだ起きていたようでなによりだ。  約束したろう? 『とっておきの場所へ案内する』とな。  ついておいで。  なに、城のみんなは眠っているよ。 起きることはあるまい。   フィーリア:……。 ヘルゼーエン:ここの眺めは、実にいいな。  私は高い場所が好きでね。  ……高いところから見下ろすと、 自分が世界の支配者であることを、  実感できるのだよ。  だが結局のところ、世界は謎だらけだ。  『世界』とはなにか? 『支配』とはなにか?  300年くらい前に会ったオグルの賢者は、 天空の、星の海をさらに進むと、  別の世界があるのだと主張していた。  世界は、大海に浮かぶ浮島のようなもので、  『協会』の連中も別の世界から来たのだと、 その賢者は主張していた。  だが、『星の海』は、どこまで続くのだ?  果てがあるのか? あるとしたら、 どのようなものなのだ?  壁でも建っているのか? どこかへ落ちてしまうのか? 落ちた先は?  逆に考えてみれば、泥を這うミミズは、  砂の中に潜ったアリは、世界をどのように 把握しているのだろうか。  我々は世界にとって、 ミミズやアリでしかないのかも しれない。  ……いくら考えても、果てがない。 いくら力を拡張し、感覚を拡大しても、  『世界』は、未だ私にその姿を見せない。  どう足掻こうと、私はこの世界で、 悠久の時を、ただ生きるしかないのだ。 ユニ:世界のすべてをくれる、だって? この僕に? ヘルゼーエン:そうだ。私にやれぬものはない。 ユニ:誰だって物で釣れると思ってるの?  大きな間違いだよ。人間を見くびりすぎだ。  それに、世界のすべてなんて、 もらっても困るよ。  僕の馬には乗り切らない。 ヘルゼーエン:だがおまえにも、欲しいものくらい あるだろう?  きれいなドレスとか……。 ユニ:ドレス? はは……僕には、 この剣と鎖帷子がお似合いさ。  それに、この剣も、この鎖帷子も、 美しいとは思わない?  剣や鎖帷子は、まっすぐで、嘘がない。 ヘルゼーエン:…………。 ユニ:……ああ、でも、欲しいものなら、あるよ。 ひとつだけ。 ヘルゼーエン:なんだ? ユニ:お空でまたたく、あの星さ。 たったひとつでいいから、欲しい。 ヘルゼーエン:……それは無理だな。 ユニ:なんだ、嘘つき。  僕と『結婚』したいってのなら、 星のひとつやふたつはくれなきゃ。 ヘルゼーエン:……すまない、ぼうっとしてしまった。  最近なぜか、昔のことばかり 思い出してしまう。  ……戻ろう。 君は風邪をひく生き物だ。 体調を崩すといけないからね。 >『古い友人』について聞きたい。 ヘルゼーエン:『古い友人』? ああ、……ユニのことか。  あれとの出会いは突然で…… 言葉を交わした時も、決して長くはない。  ただあれは、私の…… なんと言えばいいだろうな、  私に欠けていたものをすべて持っていた。  私を苦しめ、おびやかし、 そして時には、私に笑いかけた。  人狼のように頑固かと思えば、 ク・メルのように気まぐれに振る舞う。  見ていて飽きない、不思議な奴だった。 そう、君のような……。  私の側に置けたなら、 渇きを感じずに済んだかもしれない。  ……すまない。 今日はもう、帰らせてもらうよ。 失礼する。 エクレール:またあの方の気まぐれが始まった。 ヘルゼーエン:『古い友人』か。  だがはたして君は、私のことを どう思っていたのだろう。 ヘルゼーエン:なんだと? ユニ:断る、と言っている。 ヘルゼーエン(悲し顔):バカめ。死にたいのか?  ルルスで待ち構える闇の者は、 想像を絶する数であり、士気も高い。  いまのおまえたちでは、勝てない。 無駄に屍をさらすだけだ。 ユニ:勝算のない戦いはしない。  そして踏みにじられる惨めな日々に、 逆戻りするつもりもない。  僕は戦う。 決して逃げない。 ヘルゼーエン(怒り顔):英雄気取りか? 死んで英雄となりたいか! ユニ:はは、まるで僕のことを 心配しているように見えるな。  だがあなたは忘れている。 僕達の命は、僕達だけのものじゃない。  先祖から預かり、未来へ継いで行く……。  たとえ僕達が倒れても、 僕達の命と魂を継ぐものが、  いつかきっと、勝利を掴み取るだろう。  永遠に生きるしかないあなたには、 わからないことかもしれないけれど。 ヘルゼーエン:……ユニ、今度は負けない。 今度は私が勝つ。  そして君を、手に入れてみせる。 >私をさらって。 ヘルゼーエン:君の望む通りにしよう。 さあ、目をつむって。 (アナザEDへ) ※「私をさらって。」以外のすべての話をし終えた ヘルゼーエン:……いや、もう会話の時は 終わりにしよう。  幾度もの逢瀬を重ね…… 語り合うべきことは、 すべて語り尽くした。  君に残された言葉は、 もはやひとつだけ……。  おいで、フィーリア。 私の『花嫁』。  私の……いや、我々の城に帰ろう。 (アナザEDへ)