※「刹那の夢」の後に発生? エリオット:考えてみたら、自分が誰の子孫かなんて、  関係ないんだ。  僕は僕。 僕自身がしっかりしなければ、 姫様は守れない。  ……よし、頑張ろう! 『朱盾』の家は王国の盾、  僕が姫様を守るんだ! ※???:1 エリオット:ここが黒曜城……。  伝説の吸血鬼、黒貴族が住んでいる という……。  ……でも、きっと黒貴族なら、 聖騎士フョードルの話を  知っているに違いない。  フョードルは、黒貴族の甘言に乗せられ、 裏切ったのだから。 侍女シーナ:黒曜城へようこそ。  エリオット様ですね。 我が主がお待ちです。 エリオット:えっ、どうしてですか? 侍女シーナ:ヘルゼーエンの『眼』は、 世界のすべてを見晴るかします。  あなたの到来も、我が主には わかっていたのです。 ティップ・タップ・トゥゥ〜♪          小鳥が1羽逃げ出した♪     酒のつまみに捕まえろ♪       カエルが1匹♪       カエルが2匹♪  カエルが801449204の2乗匹♪          アアアア〜♪ (溝を埋める 間隙を縫う 齟齬を消す)            オオオオア〜オ〜♪ ヘルゼーエン:黒曜城へようこそ、幼くも勇敢なる騎士よ。  私が、君たちが『黒貴族』と呼ぶ者だ。 エリオット:はっ、はいっ、初めまして……。 私は……っ。 ヘルゼーエン:構わぬ、楽にするがいい。  年端のゆかぬ子供でも、無事に帰さぬ 悪鬼かなにかだと思っているのか?  もっとも……なかなか美しい顔をしている。  望むなら、この私の『花嫁』にして やってもいいがね。 エリオット(困り顔):ひゃっ! さ……触るな! ヘルゼーエン:純粋で、無垢な、美しい魂だな。  ふふ……まあいい。  君は私に、なにを望むのだ? エリオット:聞かせてください。 裏切りの騎士フョードルの真実を。 ヘルゼーエン:違うだろう。 エリオット:えっ? ヘルゼーエン:君はその、欠けた心を補修したいのだ。  自分の祖先が裏切りの騎士であったことで 欠けてしまった心を、な。  結局、君の『誇り』だとか 『名誉』だとかは、聖騎士の血筋という、  自分以外のあいまいな要素に起因している。  だから君は、その血筋を否定された だけで、見捨てられると思い込んで いるのだ。  君を取り巻いていた、 光り輝く世界からな。 エリオット:ち……違います! 僕は…… 姫様の役に立ちたいだけなんだ! ヘルゼーエン:ここで歴史のおさらいだ。 騎士王の話を思い出せ。  君は、奴が元々、王家かなにかの 血筋だと思っているか?  奴は血筋によって、 この私を追い詰めたと考えるのか? エリオット:違います。騎士王は、その勇気と 優れた戦略眼によって、あなたに  打ち勝った。 ヘルゼーエン:その意味がわかるか? エリオット(困り顔):血筋なんて考えなくても、 優れた騎士は、優れている……と。 ヘルゼーエン:むしろ、血筋などどうでもいい、という ところまで踏み込んでほしいものだな。  確かに君は他人の血筋に頓着していないが、 それは自分の血筋に、自信がありすぎた故、  だったのかもしれないしね。  人間も闇の者も、ある分野を極めると、 その分野の追随者が、みな平等に  無価値なものに見えるものらしいから。 エリオット:……そんなつもりはありませんでしたけど、  そうだったのかもしれません……。 ヘルゼーエン:確かに家系も力の一部となるが、 それだけが人間の価値ではない。  君も騎士なら、自分を磨け。 自分の価値は自分で築き上げるのだ。 エリオット:……そうですね、その通りです。 ありがとうございます! ヘルゼーエン:君よりは歳を取っているから、 このくらいの助言はしてやれる。 エリオット:黒貴族さんって、意外といい人なんですね。  もっと怖い方かと思っていました。 ヘルゼーエン:ヘルゼーエン、と呼んでくれ。 私の名だ。 エリオット:あっ、はい。ヘルゼーエンさん、ですね。  本日はありがとうございました。 貴重なお話をうかがえて、 大変参考になりました! ヘルゼーエン:ロザーンジュからは少しばかり遠いが、 また遊びにおいで。 エリオット:はい!  ……あれ、なにか忘れてるような。 ヘルゼーエン:フョードルの末裔だけに、 フフ、墜ちるのも早いな。  今度来たら、もう少し かわいがってあげるとしよう……。 ※???:2 ヘルゼーエン:やあ、よく来てくれたね。  実を言うと、あれから、君が来るのを ずっと待ち続けていたんだよ。  なにせ、退屈でなにもないところだからね。  君のような子がいてくれると、 飽きずにすむ。  そうだ、素直で、やさしくて、元気で……。  ひとなつっこく話しかける、 君がいてくれるとね。 エリオット(笑顔):ヘルゼーエン様……。 ヘルゼーエン:さあ、おいで。 永遠の生き方というものを教えてあげよう。 (エリオットが配下から外れる)