リュシアン:あっ……。 ヘルゼーエン:もう夜だ。起きなければならん。 リュシアン:そんな、もっと一緒にいたい。 ヘルゼーエン:フフ……我慢しろ、リュシアン。 リュシアン:また、別の『花嫁』のところに 行くんですね?  いやだ、離れたくない! 僕も一緒に行きます! ヘルゼーエン:ダメだ、おとなしくしていろ。 侍女シーナ:あの子も、かわいそうに。  あなたに狂わされてしまったのですね。 ヘルゼーエン:『かわいそう』?  違うとわかっていて言ってるのだろう、 シーナ。  離れれば離れるほど、 会えない時間が増えれば増えるほど、  会った時の快楽は高まるのだ。  あの子がわがままでいればいるほど、 私が突き放せば突き放すほど……ね。 侍女シーナ:だから、かわいそうだと言っているのです。  私と同じだから。 ヘルゼーエン:フフ……シーナ、私がいない間、  あの子の『世話』を頼む。  でないと、気が狂ってしまう かもしれないからな。 侍女シーナ:かしこまりました、ヘルゼーエン様。 ティップ・タップ・トゥゥ〜♪          小鳥が1羽逃げ出した♪     酒のつまみに捕まえろ♪ ヘルゼーエン:……砂で作った城だ。  いつかは、風に吹き飛ばされ、消えていく。