ヴァルター:ふう。 どうやら殿下は、やり遂げたようだな。  俺たちの任務も、ひと段落だ。 アストラッド:フィーリア、かっこよかったですね。  あれならきっと、 みなの尊敬を集めて、 立派な女王様になりますよ。 ヴァルター:どうかな。まだまだ前途は多難だ。  世界に目を向ければ殿下の味方は少なく、 そして敵は限りなく多い。  この国が乱されないようにするためには、 我々護国の騎士が、なおいっそう、  力をつけていくしかないだろう。 アストラッド:はい! そのとおりだと思います!  ……師匠。 そのためにもオレは、 剣の技を極めてみようと思うんです。 ヴァルター:うむ、それを言ってくれるのを待っていた。  新たな剣の技を生み出し、 それを国中の騎士に伝えられれば、  騎士の力はさらに増すだろう。  アストラッド。 遠慮せずに、技の発展に 全身全霊を尽くすんだ。  お前は俺の期待を超えた使い手になった。  お前の剣の師となれて、 本当によかったよ。 アストラッド:じゃあ師匠! 早速、訓練に付き合ってください! ヴァルター:な、なに? 一人で出来ないのか? アストラッド:え、まさか、 付き合ってくれないつもりだったんですか?  そんな、無理ですよ、オレ一人じゃ。 ヴァルター:……やれやれ。まだまだ子供か。  ま、それはそれでよしとしよう。 お前の師匠役、嫌じゃあないからな。  よし、荷物をまとめろ! 殿下に許可を取って、 明日から山篭りだ! アストラッド:はい、師匠! ユーグ:さーて、この城ともおさらばだ。 長いようで短かったな。 ヴァルター:どこへ行く? ユーグ:よう……ヴァルターさん。 アンタにも世話になったな。 ヴァルター:まったく騎士の作法を知らぬ男だ。 それが先輩に対する挨拶か? ユーグ:いいんだよ、もう騎士なんて辞める。  肩で風切って、偉そうに歩くのなんて 俺のガラじゃねえ。思い知ったよ。 ヴァルター:それが、一時でも『ユーグ』の名を 名乗った男の言うことか? ユーグ:は……? ヴァルター:いま騎士を辞めれば、一生このまま、 己の弱さから逃げ続けることになるぞ。  己の弱さと向き合うのだ。 ユーグ:う、うるせー! 俺にどうしろってんだ! ヴァルター:……どうやらおまえは、 一から叩き直さねばならんようだな。  私の従士となれ。 騎士道というものを叩き込んでやる! ユーグ:……わ、わかったよ。 俺も男だ、やってやる! ヴァルター:それでいい。 では来い、『ユーグ』。 ユーグ:おう! ヴァルター:返事は『はい』だ! ユーグ:は、はい……。